NPOの運営のコツ

NPOの運営のコツ

NPOの運営に大切な7つの要素
NPOを運営するには、ただ目の前の課題に力いっぱい取り組むだけでは長続きしません。活動をはじめたときにはやる気に満ち溢れていても、時がたつにつれて日々の生活やその他のことに追われ始め、徐々に意欲がなくなりメンバーもいなくなる…ということが普通なのです。一説には、設立1年後にまだ活動している団体は約半分、3年後には2割を切るとも言われています。
ですが、長続きする団体も確かにあります。自分たちのやりやすい規模でコツコツ続けている団体、最初は小さかったのにやがてメンバーも増えて成長している団体、最初は大きくスタートしたけど、徐々に無理のない大きさにまで縮小した団体…どの団体も継続できるためのコツを押さえているようです。 ここでは、そうしたコツのいくつかをご紹介します。
① 「ミッションの達成に役立つか」で事業を検討
運営の要素のうち、もっとも中心となるものが、「ミッション(自分たちの目標・使命)を達成するための事業」です。日々行う活動がこれにあたります。何かしたいと考えてNPOをはじめた皆さんですから、具体的に、現実的に課題に取り組み解決を目指す活動は、誰かに言われなくても自発的に取り組まれることでしょう。
ただ、ポイントになるのは「やろうとしていることは、ミッション達成の役に立つか」ということです。どうしても目先に課題やチャンスが現れると、使命感や正義感が強く、アクティブな人たちは、すぐに飛びついてしまうかもしれません。ですが、本当にそれが自分たちの理想の実現に関係しているのか、一呼吸おいて考える知恵が大切です。
② 継続的な資源・資金調達
次に必要なのが、資源、特に資金の調達です。NPOは、お店や企業と違い、事業から収益を生み出すのが難しいことも少なくありません。ですから寄付を募ったり、助成金に応募したり、会員や支援者を増やしたりするなどの様々な方法を使って資源や資金を集めることが大切になります。
こうした調達活動は、大口の助成金などの瞬間的に大きな額を集めることよりも、賛助会費などの少額でも継続的に集まり続けることの方が良い結果をもたらします。日本人的な感覚では、なかなか「助けてほしい、お金を下さい」とは言いづらいものですが、こつこつとそうした活動を続けることで、団体にとってのエネルギーとなる資源を集めることができます。
③ PR・啓発活動に積極的
資源調達をどれだけスムーズに行えるかは、PR・啓発活動の成果にかかっています。どれだけよい事業を長年続けていても、それが世間の人たちに知られていなければ、なかなか支援を受けることは難しいでしょう。うまくPRできる団体は、資源も多く集まってきています。
大規模なNGOなど、たくさんの寄付や会費を中心に運営している団体は、PRのためのコストを十分に支払い、最良のPR方法で私たちに入会や寄付を呼びかけています。自分たちをより誇大に見せる必要はまったくありませんので、積極的にPRを心がけましょう。
④ 事務管理の整備を嫌がらない
あわせて、事務を適切に行っていることも大切です。例えば、寄付控除等の税金の優遇措置を受けられる「認定NPO法人」になるためには、寄付金の取り扱いや組織運営が確実に行われていることを証明するために、高度な事務能力が求められています。
事務管理は、積極的な事業プレイヤーの人たちから見ると、退屈で意味のない仕事に見えることもあります。ですが、事務をする人が団体内にいなければ、いま団体が何をしているのか、いくらの予算が使えるのかもはっきりわからず、やみくもに活動する羽目に陥ります。ですから、団体内に必ず1~2人は事務に長け、それを楽しむような人材を見つけるようにするとよいでしょう。
⑤ 人材の確保・育成に熱心
これらは、すべて団体内に人材を確保すること、あるいは人材を育てることによって充足できます。一般的には、能力の優れた人をはじめからメンバーとして入れたくなる傾向にありますが、それよりも、メンバーの適性に応じて育てていく方に注意を払うべきでしょう。というのも、往々にして団体運営は「今そこにいる人で何とかしないといけない」ことが多いからです。
NPOの運営では、一人が何役もこなさなければならないこともたくさんあります。そのためスタッフの能力は多方面で成長することでしょう。一方、活動分野に関する知識や情報も、様々な事業に携わることで深めることができますし、何より、人とのつながりの中で活動をしていく性質がありますから、人間的な成長も期待できます。
⑥ 団体内のコミュニケーションを大切にする
人材は、ただ単に経験と学習を積めば育つわけではありません。また、優秀な人材でも、その団体になじむことができなければ、疎外感を感じ、いずれは去っていくことになりかねません。また、団体の活動を支援してくれる賛助会員等の支援者は、団体とのつながりを感じることで応援したいという気持ちを育むことになりますから、彼らをほったらかしにしているといずれ離れていきます。
そのため、代表者はこうした人たちとのコミュニケーションを大切にし、折に触れて話をすることが大切です。お茶会や飲み会などのイベントを企画し、何か事業の一区切りがつけばお祝いするなど、「楽しさ」を分かち合うようにすることで、メンバーや支援者の一体感を作り出すことができます。
⑦ 他団体の発展を助ける
最後に、他団体とのネットワークづくりも大切です。同じ活動分野の団体だけでなく、様々な分野の団体や、行政機関、企業、地域の人たちなど、多様な立場の人たちとコミュニケーションをすることで、ネットワークを作ることができます。コミュニケーションは、相手のイベントに参加したり、交流会に参加したり、SNS等を通じてつながりを持つことで行えます。
コミュニケーションのコツは、相手に関心を持つこと。「自分のことを助けてほしい」という気持ちだけで他の人とつながるのでは、相手を利用しているにすぎません。相手の関心や希望、課題を知ることで、相手の力になるからこそ、自分のことを助けてくれるようになるのです。
NPOの運営のコツをもっと知りたい方はこちらのコラムコーナーをご覧ください。


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